「自映」に必要なこと

 これまでの講座で、インターネット上の動画配信の現状や映像の見方はおおむねわかったことでしょう。そこで、いよいよした映像をホームページに公開する」という、この講座の本題に入りたいと思います。

●ワークフロー

 ビデオカメラ等で撮影した映像から実際に配信する動画ファイルを作成して、ホームページで公開するまでには、コンピュータを使っていくつかの作業を行なう必要があります。具体的には、次のような手順となります。

(1)映像を撮る   

(2)キャプチャする 

(3) 編集する    

(4)エンコードする 

(5)アップロードする

 以下では、その概要について説明していきます。

●(1)映像を撮る

 「自映」のためには、まず映像素材を集めなければ話になりません。映像を撮影する機材(ハードウェア)としては、ビデオカメラ・ビデオデッキ・CCDカメラ・CGアニメーションなどがあります。また、最近になって動画撮影可能なデジタルカメラも出てきているので、これもビデオソースとして利用可能です。撮影に関しては、基本的に好きなようにすれば良いと思いますが、著作権の問題には十分注意して下さい(特にビデオデッキの場合)。
 これらのソースの中で、最も一般的なのはビデオカメラでしょう。ビデオカメラは、少し前までHi‐8方式が主流でしたが、ここのところ
DV方式が多くなっています。DVカメラは、映像をデジタル信号で記録するため、鮮明で発色の良い映像を撮影できます。また最近では3CCDやプログレッシブCCDなど、かつて業務用だけだったカメラ技術が個人・家庭向けでも利用できるようになってきました。主要製品については次回紹介しますが、電化店などでお気に入りの製品を購入し、素敵な映像を撮ってみて下さい。

●(2)キャプチャする

 次に、映像素材をデジタルデータにしてコンピュータに取り込みます。キャプチャするためには、ビデオキャプチャカードとソフトが必要になります(ただしCCDカメラとCGアニメーションの場合は不要です)。手順としては、ビデオキャプチャカードをパソコンに取り付けた後、ビデオソースとキャプチャカードを(必要に応じてサウンドカードも)ケーブルに接続し、キャプチャソフトで取り込みます。ソフトは通常、キャプチャカードを購入すれば付属しているので、それで問題ないはずです。
 キャプチャカードは千差万別で、入力だけの簡易なものであれば1万円程度から、出力も可能で高品質な映像の取り込みが可能なものであれば十数万円程度まで、様々な種類があります。また最近では、IEEE1394規格(通称「i.LINK」「FireWire」などと呼ばれている)により、
DVカメラからデジタルのまま取り込みができるタイプも増えてきました(これだと全てデジタルであるため、映像の劣化がないわけです)。
 なお、ビデオキャプチャカードを接続する場合、通常PCIバスを用いるので、空きがあるか確認しましょう(ただし一部にはパラレルポートやUSB対応の製品などもあります)。また性能面でも制約があるので、購入前にチェックしておいて下さい(→詳しくは「キャプチャ編」を参照下さい)。

●(3)編集する

 続いて、取り込んだ映像を、編集ソフトを使って不要な部分を切り取ったり、つなぎ合わせたりして1本のビデオファイルにしていきます。こうした「切る」「つなぐ」の他にも、タイトルやテロップを加える、BGMや効果音を付け足す、モザイクやフェードイン・フェードアウトなどの視覚効果を追加するといった様々な加工が可能です。これにより、映像がアートになるといっても過言ではないでしょう。
 編集ソフトも様々で、キャプチャカードに付属している簡易なものから、十万円近くするプロ向けの高機能なソフトまであります。しかし一般的には1〜2万円程度のものが主流のようです。自分で考える演出ができるかどうかを基準に選べば良いでしょう(→詳しくは「編集編」を参照下さい)。

●(4)エンコードする

 完成したビデオファイルを、今度はネット配信向けにファイル形式を変換(エンコード)します。RealVideoの場合、RealProducerを使用すれば、比較的簡単にエンコードできます。またエンコードしたストリーミングビデオを再生するには専用プレーヤー(RealVideoの場合はRealPlayer)が必要になりますが、これらはホームページからダウンロードして入手可能です(雑誌の付録CD‐ROMに入っていることもあります)。
 エンコードする際には、視聴者のインターネットへの接続環境を考慮して、それに適した条件を設定すべきです。また映像を重視するのか、音声を重視するのかといったことも選択できます。RealProducerでは、条件に合った設定が簡単にできますので、特別な知識がなくともエンコードできます(→詳しくは「エンコード編」を参照下さい)。

●(5)アップロードする

 エンコードによってネット配信用のストリーミングビデオファイルが完成したら、いよいよホームページに掲載します。RealVideoの場合、ライブ中継などの機能を使う場合には専用サーバが必要ですが、オンデマンドでストリーミング再生するだけなら、普通のホームページと同じHTTPサーバで放送可能です。
 ビデオファイルをWebページに掲載するには、本来多少のHTML(ホームページ記述用の言語)の知識が必要ですが、RealProducerの「Web Publishing」機能を使えば、簡単にアップロードできます(→詳しくは「アップロード編」を参照下さい)。

●「ターンキーシステム」

 このようにして「自映」作業は完了します。これらの詳細はこれからの講座でそれぞれ見ていきますが、マルチメディアが声高に叫ばれる中で、最近になって「動画編集」を目的に設計されたパソコンが登場し始めました(こうしたオールインワン型のモデルを「ターンキーシステム」と呼びます)。最近のパソコンは、こうした用途で使えるものが増えていますが、そのうち代表的なシリーズを7つ、最後に見ておきましょう(2000年6月現在)。

  • VAIO R/XRシリーズ
    SONYのVAIOは、ほとんどの機種でビデオ編集が可能です。中でもマイクロタワー型のRシリーズとノート型のXRシリーズは、DV動画の編集・加工を主眼に置いたパソコンです。30万前後でフルデジタル編集ができるのは比較的お買い得でしょう(さらに高機能を求める方にはクリエイティブパッケージもあります)。
  • iMac DV
    CM等でも既におなじみですが、アップルコンピュータから発売されている人気シリーズ「iMac」も、1999年秋発売モデルからDV編集対応になっています。中でも、ワンランク上のスペックを誇る「iMac DV Special Edition」はグラファイトカラーで、なかなかかっこいいです。
  • VALUESTAR C/Tシリーズ
    スリムサイズながら、ビデオ編集・オリジナルCD作成が可能なシリーズです。スタイリッシュなデザインが魅力的です。Tシリーズではテレビ録画にも対応しています。また上位機種では、CD-RW/DVD-ROMコンポドライブを搭載していて便利です。
  • DESKPOWER C/Kシリーズ
    こちらもスリムサイズながら、ビデオ編集や音楽編集などに対応しています。同じくスタイリッシュなデザインになっています。コンパクトモデルのCシリーズと、ワンボディモデルのKシリーズがありますので、お好みの方を選択して下さい
  • PC STATION M370AV/M380AV
    SOTECから発売されているマルチメディア対応パソコンです。動画編集のほか、TV再生・録画、DVD、音楽編集など多彩なAV機能を搭載しながら、20万円程度の低価格を実現しており、お買い得です。
  • Mebius クリエーター
    シャープのMebiusシリーズの中では異色の存在で、あまり目立ちませんが、DV編集を手軽にできるモデルです。大手の製品では唯一、プロの映像クリエイターの間で定評のあるカノープス社製「DVRaptor」を標準で内蔵しているのが特徴です。省スペース性の配慮もなされているので、家庭用には良いかもしれません。
  • SmartEditor
    評価の高いカノープス社製品搭載モデルを中心に、下は15万円から、上は100万円程度まで、幅広いラインナップを揃えています。市販のパソコンでは得られない本格的なDV編集環境を手軽に購入することができます。

 

 これらの機種は、わざわざビデオキャプチャボードや編集ソフトを購入する手間が省け、しかもボードと本体の相性が悪くて動かない、といった心配がないという点で「お買い得」です。ただし、自分の懐と良く相談して下さい(25万から50万近くまで出せるか、数万までしか出せないのか…)。
 なお、これからの講座では、原則として既存のパソコンに必要な機器・ソフトを取り付けるというスタンスで進めていきます。動画編集用のターンキーシステムを購入した方は、その旨ご承知おき下さい(それほど違いはないと思いますが)。

(2000.6)


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